黄金の海と水平線、香りの女王の話。
3年と半前に越してきたこの地の、バスに乗って職場を行き帰りする道は好きな風景であふれている。春は目を皿のようにしてバラを探していたけれど(そして良いスポットをいくつか見つけたので毎日ガン見している)、今のトレンドといえば、そりゃもう田んぼです。
降りるところの3つほど手前の駅の周りは、見渡す限り田んぼが広がっていて、これがもう……もうね……胸が熱くなるんだ。
(贅沢な景色、ずーっと感動しっぱなしなのだけど、家人はいつもの景色よ、という感じ。贅沢!)
田んぼ、それ自体はうちのベランダからも見えるし(最高にきれいなの!)、その駅の360℃パノラマ田んぼの何がそこまでいいのかって、水平線を臨めるのだ。
この土地は必要に迫られて高さ10m越え(くらいだったと思う)の、高い高い堤防が作られている。まだ足場を組んでいるような工事中から立派な堤防になるまで、ずっとその様子をベランダから眺めていたので、それに対してちょっとした思い入れはあるのだが、近くへ行っても海が見られないのは寂しかった。
そういうわけで水平線というのは坂を登ったりしないと見えないのだけど、そこの駅はお山の上の方だから、まっすぐに見晴らすことができる。熱にうかされたように日に輝く水平線と、緑の海だ。
東北の今この季節、こうべを垂れる稲穂はほんのりと緑が抜けかかかっているところ。黄金の季節が待ち遠しい。それはそれは綺麗なんだ、本当に。
今日は今春のアカデミアのお話をしたいと思っていたのに、バスからの風景ですっかり昂奮してしまったな。
赤とピンクが絶妙に混じりあって溶けあった、カーマインレッドというのが近いような色のバラは、私の愛すべき香りの女王、アカデミア。イタリアはトスカーナ州のバルニ社で作出され、2014年に日本で発表されたバラで、女性育種家の方の作出だそう(ベアトリーチェ・バルニというその女性は、イタリアの方らしくどの写真を見ても太陽みたいに明るい笑顔だった)。
2枚目の写真は今日撮ったものだけれど、後ろの緑の海がいずれ黄金の稲穂になる田んぼです。ああ、アカデミアはもう背丈が1.8mになってしまった。樹高80cm〜1mって書いてあったんだけどな……?
アンティークで洗練された雰囲気のバラ。
イタリア・ピエモンテ州のガーデンアカデミー
「Accademia Piemontese del Giardino」にちなんで命名。
モンツァコンクールでは「最も香りの良いバラ」に選ばれた。
程よくまとまりのある樹形で、色々なシーンに合わせやすい。
(-河本バラ園公式サイト商品説明より)
単花咲きにもなるけれど、2〜3輪の房咲きが多い。ベーサルシュートの発生が本当に良くて、去年も今年も3本ずつぐらい出た。枝は真っ直ぐ上に伸びて場所をとらない。濃緑の葉っぱはかすかに照り葉で、なにかの間違いのように伸びた細い枝の葉っぱには黒星が出るけれど、とにかく樹勢が強いので全く問題はないと思う。
育て始めてから悩んだのは樹高だけだ。なにしろ枝が太くて硬いのでせっかくのお花が見られないし、香りもかげないのだ。
そう、香りである。アカデミアは、Twitterでも何度も言っているけれど、香りが、あまりにも、良い!!
南国のフルーツの香りがする。マンゴーやパパイヤやメロン、果汁の多くて色鮮やかな、湿度の高い国の活き活きとした商店で香るあの匂いがする。スコールがある国の、朗らかで力強い人々が暮らす国の、暑い夏に漂う、とろりとした甘い香り。あまりにも好きだ。もし万が一枯れてしまっても絶対に買い直すと思う。
香りのことはここにも書いていますね。なんというか、雰囲気でわかってもらえると嬉しい。
美しく香りよく、稲穂の海をバックにすっと背筋の伸びた、明るく凛々しいイタリア女性みたいなバラ。秋の深い花色と濃厚な香りが今から楽しみで仕方がない。
明日は35℃/23℃だという。ここは東北なのに???と思うけど、アカデミアが咲いてくれたらきっとその暑さも似合いのものになるのにな。つぼみはあるのでとりあえず写真で我慢して、涼しい場所にいましょうね。
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