泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

好きな色のこと。

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小さいこどもだったとき、何でもかんでも人を質問責めにしたことはないですか?私の周りだけかもしれないけど、小さい頃は色々な質問をしたしされていて、その中で割合高い頻度で聞かれるのが「好きな色は?」だった。

私はこの質問が苦手で、なぜなら好きな色が「紫」だったからである。不思議な話だが小さい頃、「紫色」が好きな子はちょっとおかしい子、という共通認識が深く根づいていたのだ。

「えー!紫が好きなんだって!それってヤバイんだよ!」というようなことを何度も言われた。今では学習せず答える私が悪いねえと思うんだけど、その頃はすごく傷ついていたなあ。

 

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正確に言うなら、私が好きな色は「赤紫」である。

レースのカーテンを透かす夕日が、白い机の上に置いたファンタグレープを照らすと、赤紫の影ができた。その色が好きだった。

学校から帰ってめいっぱい遊んだ友達の家から帰宅する頃、空の低いところがもう紺碧に染まって、それに対抗するように赤みを強くする太陽が、雲を鮮やかな朱色にする。その雲の陰になったところ、紺碧と朱の交わるところ、その赤紫が好きだった。

当時はわけもなくただ好きで、じゅうぶんな大人になった今は、思い出すと喉がさりさりとするような郷愁とともに、好きだなあと思う色。

 

なので、赤紫のバラはすごく吟味に吟味を重ねていて、とりあえず紫のニュアンスのバラを迎えたのでした。

 

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今までの写真はロサオリエンティスのキルケ。初夏はこんなピンクの花だが、秋が深まると宝石みたいな紫になる。似た感じのバラだなあと思っている河本純子さんのブルームーンストーンとは交配親の片方がブルーフォーユーで同じらしい。

バラにはまる前は鉱石沼に沈んでいた私だが、(ロイヤル)ブルームーンストーンはあまりにも高くて手が出なかった(そのわりにモルダバイトやめちゃ綺麗なロードクロサイトやラリマーは集めていた)。でもブルームーンストーンはほとんどホワイトラブラドライトだし……と変な知識が邪魔をして、ブルームーンストーンではなくキルケを迎えたという経緯がある。こだわりが強くて面倒なオタクで申し訳ない。

バラはどちらもとっても素敵だと思うので……ので……。

 

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7月半ばに届いたキルケ。花は上から見た苺大福くらい、刻みの入ったフリルの花びらでとてもとても整ったロゼット咲きになることが多い。晩秋は花弁が多すぎるのか多少ルーズになる。

 

同じ頃に迎えたオデュッセイア、ラパリジェンヌ、フリュイ、アカデミアに比べると1番暑さに弱い印象。届いたそばから下葉を落としてしまい、土も乾かず、めちゃくちゃ心配した記憶。

 

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夏場のキルケ。他の株に比べると葉っぱが少ない。

 

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夏なのに土が乾かずキノコがめちゃ生えた。スリットから生えるのはすごくない?どれだけ湿っているんだ?

 

バラの家の表記ではタイプ1、「無農薬でもそだつとても丈夫なバラ」に分類されていた、と思ったが、今見たらタイプ2になっていた。でも、病気にはとても強いと思う。ただ暑さ?蒸れ?に弱いだけで……(ここは東北なんだけども……)。

 

涼しくなると葉っぱもきれいに生えそろい、房咲きで楽しませてくれた。

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香りは強香、とあったが、ERやアカデミアに比べるとそこまで強いものではなかった気がする。超強香のフリュイもそういう印象で、中香表記のダフネがほぼ無香なので、ロサオリの品種は株が育つまでは香りは控えめなのかな。

 

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剪定前のキルケ。素直な直立系。

 

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剪定後!少し段差剪定のような雰囲気になった。

 

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今はよく芽吹いて葉っぱも大きくなっている。

若葉の頃のこの色は素敵ですね。

 

可愛らしいピンクのバラを求めている方も、妖艶な紫のバラが好きな方も、色が変化するバラや清廉な雰囲気を持つバラが欲しい方も満足できる品種だと思います。株が育ったら香りも楽しめる!

おすすめです。

 

 

毎日、ベランダにキャンプ用の椅子を置いて、うっとりバラの成長を見ている時間がこの上ない幸せだ。暖冬のおかげで今年は長く花期が楽しめそうで嬉しい。毎日思う、この時間を大切にしたいなあ。