泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

2020-01-01から1年間の記事一覧

ベランダにだってアーチ(?)が欲しい、の話。おしまい

昨日は金曜日だから、と帰りに本屋さんに寄ってみたら村上春樹の「村上T」が売っていて、ノータイムで買ってしまった。ふんふんとして帰って家人に話したら「絶対にコアなファンしか買わないやつ!」と大笑いされた。まあ、いいですよ。私は大好きなんだから…

ベランダにだってアーチ(?)が欲しい、の話。その2

2015年発表のER、デスデモーナ。その花姿と香りを何より愛しているけれど、コンパクトなのでアーチには向かない。 この間に続いて、「アーチに咲かせたいバラ」についての話をします。これはいつか持家になって2億坪の土地が手に入ったときに役立つかもしれ…

ベランダにだってアーチ(?)が欲しい、の話。

それはまるで春の夢のような 春のバラ園、満開を迎えた色とりどりのバラが何種類も絡んだアーチのトンネルをくぐる。風が吹くと、世界中のただ綺麗な色だけを集めた花びらが降ってくる。いばらの間から日差しが差し込み、花びらは身の回りを小さな嵐になって…

黄金の海と水平線、香りの女王の話。

3年と半前に越してきたこの地の、バスに乗って職場を行き帰りする道は好きな風景であふれている。春は目を皿のようにしてバラを探していたけれど(そして良いスポットをいくつか見つけたので毎日ガン見している)、今のトレンドといえば、そりゃもう田んぼです…

オレンジとイエロー、スカイブルーにペーパームーン

用事があって午後にお休みをもらった。バス停に着くまでの道のり、眩しさをこらえて視線を上げると、あまりにも空が青くて驚いてしまう。 夏はこんなにも暑くてしんどい、と思うのに、空も海もそのあいだを吹き抜ける風が肌に涼しいのも、日に灼ける街も笑う…

夏の朝に咲く

最近、暑さに参ってしまったので朝の水やりを1時間早めて、6時前にするようになった。昼間はのぼせるくらいの空気もすっきりとしていて、どこかのお堂で鐘を撞いているのが聞こえる。しばらく聞き入ってしまうくらいに何やら風情があって、良い。 ベランダの…

世界でいちばんお姫さま、のバラ

お世話になっている、家人の同僚さんのおうちのピエールドゥロンサール。お手伝いをしたらお礼にと頂いてしまった 真夏のこの暑い中でもたくさん咲いていました(びっくり)!花弁の焼けたのもなく、花びらが少ないわけでもなく、相変わらずお姫さまのバラちゃ…

空想のグラスから香る・しっとりとみずの匂い

肌にぴったりと暑い空気が、ゼリーみたいな被膜になって張りついている。湯気のような淡い霞に覆われた山の稜線も、三日月に湾を囲む港の向こう、見えるはずの水平線の在りかもゆらゆらと曖昧だ。普段から着物を着ている洒落たお客さまの水色の帯が唯一、涼…

暑い暑い暑い・しっとりと砂糖菓子の香り

暑い!!! お盆寸前でようやっと本格的な夏の暑さになってきた。34℃/24℃。おととし?なんかは梅雨明け宣言も出ずに寒いまま秋に突入していたことを考えると、まあまあふつうなのかな…と思うのだが、各地は異常な暑さだ。本当に、何事もなくと祈るばかり……。…

水に滲む色と花と影

あまりにも美しいクロードモネ。芸術的な絞り模様。絞りの色合いによっては苦手なものもあるのだけど、クロードモネはその鮮やかなピンクと、淡い卵色の配色が最高だと思う。 好きすぎていろんなところで使っている。Twitterとブログのアイコンとかヘッダー…

島国のバラ事情

先日、インスタのDavid Austine Roses公式が、『コメントしてくれたアカウントに抽選でバラ苗が当たる!』(ざっくり意訳)というのを行っていた。 もちろん本国のアカウントであるので、極東の島国北方に住む私は「羨ましすぎる」と心の中で歯ぎしりをしなが…

青空がとてもよく似合うので

塀の向こうに飛び出しているレディエマハミルトンの2本のベーサルシュートを、ちょっとこれはもうどうしようもないなと思って毎日眺めている。遠目だけどたぶんつぼみがついている。ホウキ状になっていないから、レディエマは別にピンチしなくてもいい品種な…

紅榴石ととりどりの赤

写真を見返していたらあんまり綺麗でびっくりした。柘榴石をざらざらと零したみたいでしょう?ロサオリエンティス・オデュッセイアです。 房咲きで枝垂れる様子はデスデモーナにも似ていて、このふたつは隣りあって咲かせているので、6月の競演は見事だった…

エヴリンと香りの話。

(エヴリン。桃と花とハチミツの贅沢な香り) 桃の香りを感じた時に思い出すのは、小さい頃の夏休み、毎年1ヶ月弱滞在していた祖父母の家のこと。お盆になるとまんまさん(仏様)にお供えする果物の盛り合わせがあって、一度上げたあとの桃は双子の従兄弟たちと…

開いていくバラの美しさと(ホラー)映画の話

霧の深い朝のバス停から職場の最寄りにつくまで爆睡して、起きてバスを降りたらめちゃくちゃに晴れていた。一瞬、本当に夢かクレヨン王国に行ってしまったんだと思った。 もちろんそんなことはなく、晴れたり曇ったりで気圧がゆらゆらするので職場でくたばっ…

バラの姫

一雨ごとに緑が深まり、背丈の高い野草に花が咲く。夏風に吹かれて散りいそぐ残花が、水たまりに浮島のように群れていた。今日はまだ雨が降っていない。これから2週間は日照不足の日々だそう。 ふと思い立って、萼がおりたばかりのシャリファアスマをカット…

ベランダの景観を考える・孤高のヴィウーローズ

2番花のデスデモーナはなぜか花びらに細かく刻みが入って、別のバラのようだ。 デルバールのソフィーロシャスとかかの有名なイブピアジェとか、あと河本さんのバラのいくつかを思い出す。いいなあ、こういうのも好きです。はつねが欲しかったんよね……。 そし…

ベーサルシュートは嬉しいものです。

多少雲は多いけれども、太陽の位置の分かる朝だった。霧が光を散乱させていて、散らばった山吹色の光が、あたりをぼうっと浮かび上がらせる。夢見心地。 夢見心地といえば、最近咲いてくれているシャリファアスマ!ずーっと憧れだったイングリッシュローズが…

キッチンの海・光のようなシャトードゥシュベルニー

当地は連日霧に沈んでいる。 今日は28℃まで上がったけれど、ここ数日は最高気温も20℃前後をうろうろしていた。夜、窓を開けたまま寝て、猫に起こされた真夜中、部屋中に潮の香りが漂っていた。肌寒くて寝起きの身体がうまく動かなくて、まるで海の中だ。時間…

亡き母のためのクリスティアーナ

昨日は母の命日であった。故郷の蒸し暑い梅雨の終わりがみえる頃、今よりずっと痩せていた私が、襟元に白い花の刺繍の入った紺青のワンピースを着ていたあの日から、もう4年になる。 花の好きだった母が今の我が家のベランダを見たら喜ぶだろうか、と考えた…

深い霧の中で

今朝の房咲きレディエマハミルトン。 去年はよくて3輪程度だったのが、やっぱり今年は花つきがよくなっている。房咲きねえ、好きだねえ。やっぱりヴィウーローズよりあおいなのかなあ(独り言)。 こちらは出先を昼休みに散歩している途中で見かけたアスチルベ…

バラの香りのはなし。その3

飽きないうちにやっちまいましょう、その3。 6/19金曜日、23℃/17℃。朝は曇っていて、今にも降り出しそう、と思っていたらバケツをひっくり返したみたいなのが降ってきた。 ばらちゃん軒下に入れてない……大丈夫かな…… 前回、前々回のつづきです。 rancraw.hat…

バラの香りのはなし。その2

飽きないうちにやりましょう。 25℃/13℃の快晴(梅雨なのに……)、今日も前回の続きで香りの話です。 rancraw.hatenablog.com ⑥キルケ(ロサオリエンティス・8号鉢2年目) *香質:ダマスクにティーとフルーツ(公式より) *強さ:★☆☆☆☆ *安定性:★☆☆☆☆ ロサオリエン…

バラの香りのはなし。その1

我が家の開花、トリを飾るバラであるデルバール・フラゴナールが6/15に咲き出して、パーフェクトに美しい姿を見せてくれている。葉っぱの若草色にこの濃いピンクはとてもよく映えると思いませんか?私は大好きです!! さて、今日はバラの香りについて書こう…

散る花びらの行く末を思う

夕方あたりから霧が海を渡ってきて、高い高い堤防をぬめぬめと超え、みるみるうちに街を覆ってしまった。朝にはつぼみだったレディエマが1輪、呼ばれるように咲き出している。甘い柑橘のいい匂い。 オステオスペルマムはこの寄せ植えの紫の花。次々に咲き夏…

慈しむべきは座らせる者

大好きな映画に、北欧はスウェーデンのロイ・アンダーソン監督「散歩する惑星」がある。これは日本語タイトルで、原題を邦訳すると「二階から聞こえる歌」となる。なんとなくシュールで意味がわからないでしょう。うふふ、内容もそんな感じです。 この映画は…

はじめは白、しだいに赤と杏、やがて光のような色

はじめに咲き出したのは白に淡くピンクやゴールドが載る、デスデモーナやクリスティアーナ。 しだいに真紅のオデュッセイア、柔らかなアプリコットのエヴリンやプシュケ、ピンクのソニアリキエル。 そして今、シャトードゥシュベルニーやジュードジオブスキ…

6月6日 宴の始まり

今朝のデスデモーナとオデュッセイア。朝はよく晴れて、差し込む日差しに照らされて天国みたいに綺麗だった。 24℃/14℃と、昨日より3℃ほど低い気温の予報の今日、ベランダの向かって左側のバラはほとんど咲いてくれました。 デスデモーナ オデュッセイア プシ…

祭りの前夜

すっかりすなおに開くようになったクリスティアーナ。純白の中にひっそりと薄紅をかくしているのがかわいらしい。 つるバラだけれど、ドイツではあまり伸びないブッシュだそうで、ここ東北だと背丈はHTのブルーパフュームと同じくらい、1番長い枝でも今のと…

金の滴降る降るまわりに 5/26〜6/2のデスデモーナ

朝陽に照らされるデスデモーナ。 こんなふうに陽の照る中で降るように、木陰から光の差すように、あるいは仔猫の喉を鳴らすように、春のバラが柔らかく美しくいとおしいとはまるで知らなかった。人生を損した気分だ。 たくさん撮ったから、今日はただデスデ…