オレンジとイエロー、スカイブルーにペーパームーン
用事があって午後にお休みをもらった。バス停に着くまでの道のり、眩しさをこらえて視線を上げると、あまりにも空が青くて驚いてしまう。
夏はこんなにも暑くてしんどい、と思うのに、空も海もそのあいだを吹き抜ける風が肌に涼しいのも、日に灼ける街も笑う人も本当に美しい。遠いところにいる親友や、大事な兄や姪を思い出す。どこまでもつながっている青。高く響く汽笛と、線路を踏む重い音。
写真は8月21日のレディエマハミルトン。まだ2番花のつぼみがある、その安定ぶりで私に安心をくれるバラ。
家は海の近くの高台にあるので、ベランダのバラたちは毎朝涼やかな海風と昇ったばかりの日の光を一身に浴びている。黒星やうどん粉にかかっても、そこまでひどくならないのはその環境のせいかもしれない。
甘く煮詰めた花豆色の葉を持つヴィウーローズは、網戸近くの目の届きやすい位置よりも奥の棚の上に置いたほうがずっと調子が良くなった。2019年、デルバールが発表して一目惚れしてしまったバラだ。リンゴの香りがすると聞いたけども、今のところ軽く薬局の匂いがしている。薬局……。
デルバールで、夏!なら、それはもうラパリジェンヌの出番である。2009年発表のパリっ娘Roséは、去年の夏の終わりにベト病に罹患してからずっと不調だったけれど、この春の終わりには元気そうなサイドシュートが伸びてきて、あっという間に1.2mぐらいまで育ってしまった。そのほかの枝にもつぼみがついて、写真はその子たち。
プロムのドレスみたいな可愛らしくはじけるピンク、日差しを受けて熟れたタンジェリンオレンジ、気まぐれにグレープフルーツイエローの絞り。暑い夏を楽しむための彩りがぜんぶ入っている。大好きなバラなので、このまま復活してほしいな(*´◡`*)
最後に、最近咲いてくれたバラを。
いつでも完璧に美しい、私の女王さま。ジュビリーセレブレーション。
とろけるカスタード、あるいはレモンカードとチェリーソースのフリュイ。
あばれんぼうプリンセスのダフネ。
どんなに落ち込んだ日だって、こんなにきれいに咲いてくれたバラを見れば元気になるよ。ありがとうね。
いつの間にか滑るように雲が海を渡って来ていた。街のぐるりの山々のてっぺんはもう黒々としていて見ることができないけれど、真ん中の空は嘘みたいに青く、白々と薄っぺらい月が飾りのように浮かんでいた。
生ぬるい風、雨の気配、遥か夏の夕暮れ。
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