泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

例えば忘れられるだけの一瞬が

私の住む街はこの9年間ずっと大がかりな工事をしている。その一角、家のすぐそばに田んぼが出来たようで、最近水が引かれていた。風が吹くと小さな波がさざめき立つ。 ある日の夕暮れ時の退勤時、観光客っぽい外国の方がその風景を撮っていたのを見た。水面…

イングリッシュローズのこと

好きなバラのナーセリーさんの代表の方が、 「まず朝に30分、ただじっと花を見る。気温が低いのでバラがとても綺麗に見える。邪念が消えて、なにも考えずに美しいものに引き込まれていく。それが終わったら、葉っぱに病気が出てないかとか、客観的に観察をす…

チェリー・カスタード・パイ

ここしばらく、春の嵐が続いている。 私の暮らす街はとにかく風が強く、まだ新しい中心市街地に植えられた沢山の街路樹も、風に吹かれてわずかに傾いて成長している。春になると桃色の花が咲く。 春になると、なんて言っているけれど、もうすぐそこだな。ポ…

春の夢のようなバラ

あまりにも美しくて もともと無い語彙を消失したバラ。 ロサオリエンティスのダフネ。 色もこう、可愛いもの好きの小学生の女の子が、進級のお祝いにお洋服買ってあげるって言われて、服屋さんでずーっと悩んだ末に手に取るワンピースのようなピンクじゃない…

ギリシャ語で"不運な" 美しいバラ

デスデモーナ/Desdemona この上ない美しさを秘めたチャーミングなバラで、晩春から非常に長い間花を咲かせます。 愛らしいピーチがかったピンクのつぼみから、咲き初めにはほんのりピンクが混ざり、その後、美しく透き通るような白の花を咲かせます。聖杯型…

晴れた日の朝に見る若葉が生き生きとしていること

3月13日の朝、クリスティアーナとシャリファアスマ。 わさわさと茂った新芽が光に透けて薄緑になる。葉の縁が朝日を粒にして黄金に光る。 自分にこんな感情があるとは露と知らなかったが、朝、こんな光景が見られるだけでニコニコしてしまうし、1日中幸せな…

ローランの古城

この一枚に私の「好き」のほとんどが詰まっている。 ピンクのリボンを結ばれたみたいに色づく黄色のつぼみ、花芯付近の華やかなオレンジ、全体はぱっきりとしたサニーイエロー。 1週間ほどかけてレモンイエローに褪色して、はらはら散ってゆく。 非常に耐病…

全て憧れのシャリファアスマ

この間の楽天セールで見つけてしまった 全私の憧れ シャリファアスマ! 冬の予約大苗として販売されるだろうと毎日販売サイトを覗いてずっと待っていたのだけど、どうやら販売初日の勤務中に売り切れてしまったらしい。さすがERのお姫さま……。 仕方がないの…

Condolence.

濃霧とフラゴナールと

ドアから一歩外へ出ると、一面霧の世界だった。 海から上がってきた濃霧は磯の香りを伴って街を飲み込んでしまって、映画「ミスト」が大好きな私は大興奮。飲み込まれたホームセンターで生き残る方法を考えながら出勤した(中学生?)。 写真はフラゴナール。 …

素敵な女性とピエールの話。

昨日は家人と、お世話になっている家人の同僚さんのお家にお邪魔した。 憧れのピエールドゥロンサールを植えたけれども、あまり手をかけていないにも関わらず大きくなって、そろそろなにかしてあげたい、とのこと。ベランダガーデニング1年生の私は戦々恐々…

忘れられないのは

今はもうないニューウェーブ。 日本が誇る育種家「寺西 菊雄」氏の作品。はっきりウェーブがかかる美しい花型と、薄紫の色彩が大変上品で、香りも素晴らしい推奨品種。枝数が増えにくいのが欠点ですが、伸長力はありますので意外に伸びます。花壇の後方に植…

香りの女王・アカデミアの話

8℃/1℃。朝はやっぱり寒い。そして、あんなに離れた雲の流れが目に見えて早いということは、ただでさえ風の強い我が街は強風がやばいということ。 (コマツガーデンさんから来た、びっくりするほど元気なエヴリンの株元。と、細い細い枝のどこにこんなエネルギ…

富士山を見晴らす交差点にて

長い長いゆるやかな坂道の途中、角を曲がると眼前に富士山が現れる。まだまだ続く坂道を下ってゆくと、ひらけた青空に悠然とたたずむ富士山を、真正面に据える交差点に辿りつく。 交通量もそこそこ多く、駅や商店街や学校にも近く、賑やかな"竜崎"という交差…

オールド・ローズという名前のバラ

8℃/-1℃の冬の雨。夜には風が強くなり、暴風雪になるところもあるとの予報だった。 けれど今日は親友の誕生日で、それだけで私は幸福で、心の中は小春日和だ。どうか全てのさいわいが優しい彼女に降り注ぎますように。 それに加えて今日は特別。 ヴィウーロー…

クロードモネのこと。

雨上がりの朝は、水たまりが朝日を反射して眩しかった。大気中の汚れがみんな落ちてしまって、遠く遠くの山が青白く輪郭を持っているのまで見える。予報は晴れ、10℃/1℃。なかなかによい気分。 クロードモネは1番好きなバラのひとつ(これが1番!!と言い切る…

ピースフルで幸福な緑ある生活。

シジュウカラが急ぎ足で駐車場を駆けていく。 ボーダーに植えられた枯れた低木に、ふくふくとまあるくなったスズメが群れて鳴いている。 シベリアから渡ってきた白鳥は岸辺でガアガアと騒ぎ、鴨が半分凍った池でゆっくりとまばたきをする。 今日は朝日が昇る…

初めてのバラの話

5月21日で、初めてバラを買ってから1年になる。 本やら映画やら化粧品やら鉱石やらお香やら、多趣味で飽き性、しかも再熱率も高い。両親が好きだった園芸には手を出しても続かないと思っていた。 今、3月の芽吹きの時期、いまだ初めてホームセンターでレディ…