泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

今日はクレマチスと妄想のお話。

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ひそやかで幽玄な佇まいの、クレマチス・ウェッセルトン。雑誌の表紙ととあるブロガーさんの写真に一目惚れして購入した。

首すじというか、伸びたつるが蕾に向かってすうっと曲がるのが好き。光の粒子みたいな和毛がつるや花びらを覆っているのが好き。誘引したつるや葉が影になって、のぞきこむようにするとそこが小さな木陰の庭みたいになるのが好き。

 

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一昨日はひどい春の嵐で、ブルーパフュームの伸びたばかりの枝が付け根から千切れてしまったりした。その中でウェッセルトンはひそやかに開花して、嵐の翌朝、ほとんど茫然としてベランダを眺めていた私をなぐさめてくれた。

和紙みたいな質感の花びら、まさにそのとおりだ。早く日の当たるところで花が光を透かすのを見たい。

 

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これはこの間大騒ぎして買ったクレマチス・水面の妖精。

こちらもどこか懐かしいような、アンティークな雰囲気。花形は豪華で派手な印象なのに、かすれたような色合いがなにか郷愁を誘うんだろうか。

 

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水面の妖精、という名前がいいよね。育種家さんの願いみたいなのを勝手に想像してしまう。

 

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あんまりきれいでびっくりする。

 

まだ2品種しか実際に咲いたのを見ていないけれど、バラを見るときとクレマチスを見るときでは心持ちが全く違うことに気づいた。

バラはなんというか、品種にもよるけれども、自分自身とバラの両方を鑑賞するように見ている。優雅な気持ちを自分の中に持たないと、と思う、そういう心構えみたいなのが自然とできている。

 

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クレマチスはもう少し自然だ。ウェッセルトンも水面の妖精も、例えば家人が家にいない夜(そんな夜はほとんどないけど)に部屋に持ち込んで、気合のたりない部屋着で猫を抱えて、冷たいペリエを瓶から直飲みしながら見ていたっていいと思う。気楽というのも違うんだけど、適度な緊張感と温かさがある、ような……。

 

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バラはおしゃべりでおしゃれで笑顔が似合うお嬢さんの友達で、クレマチスは寡黙で芯の強い友人みたいに思って(妄想して)いる、という感じ。

バラもクレマチスも寄り添って咲いてくれることに変わりはないので、これからも仲良くしてもらえると嬉しいな。お世話はがんばるので……✨