泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

あなたに会えて良かった。

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 これはクリスティアーナのつぼみ。中心の1番大きなものはなにかに引っかかって少し傾いでいる。でも大丈夫だよ、と言うようにわきからもつぼみが上がって一安心。クリスティアーナは4/5につぼみを発見して、もう20日以上になる。

 

15℃/1℃。まだ風の冷たい春。

 

 

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 時折、吐き出す息が凍るほど、不安に駆られることがある。本当に肺から喉元に氷の塊が張り付いているようなのだ。それは大体理由のある不安で、私はその感情と現実をなんとかコントロールしないといけないのを知っている。吐く息が冷たいの、胸が詰まって頭が鈍く痛むのと、世界の彩度が失われていって、しかもそれはきっと二度と戻らないのだという確信めいた恐怖と、うまくうまく付き合っていかなければいけない。

 

だからこんな色彩の花々を見ると、世界にまだ色があることに驚く。それはほとんど奇跡みたいなものだ。本当に。

 

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 今まで確認できたつぼみはクリスティアーナ、デスデモーナ、レディエマハミルトン、キルケ、オデュッセイア、エヴリン。毎日、朝日の中でつぼみを探すのが楽しくて仕方がない。不安が消えずに指先から冷えていく恐怖も忘れて、ただじっと見ていたい。見ていたいなあ。

 

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 もうすぐバラが咲いてくれる。花は決して人間のために咲くのではないことを言い聞かせながら、ほんの少し、力を貸してもらいたい。