泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

紅茶とバラの日々

を、今読んでいる。もう読み返すのは何度目だろう?昔の女流随筆家が大好きで、幸田文森茉莉のエッセイは宝物のように大事にしている。

でも今日は、私のファーストローズ、レディエマハミルトンの話。きらめくオレンジがダージリンの水色みたいに鮮やかなバラ。

 

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ふっくらと咲き始める姿の愛らしいことこの上ない レディエマハミルトン。

おそらくこのバラがHCになかったら、私はバラにははまってなかったと思う。

2019年の5月、10連休という驚くべきGWが終わって、この地で初めての勤め先にも慣れたような心が息を止めているだけのような、そんな気持ちでいた頃、家人が「ベランダで花でも育てたらいいんじゃない?」と言ってくれた。亡くなった両親はガーデニングが好きだったのを思い出したけれど、自分がやり始めるのは考えつかなかった。

 

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初めはもう花が咲いている苗を買って(それが冬越しできなかったカリブラコア。今年はリベンジしたい)、なんとなく満足できずに、花の咲いていない苗が欲しいと思った。自分で花を咲かせられたら、長く病みついて疲弊した心にも少し、うるおいのようなものを持てるかと思ったのだ。

 

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どうしてバラを選んだのか分からない。赤いバラの咲いた特設コーナーでしゃがみ込んでいたら、おばあさんが「きれいねえ」と話しかけて下さったのは覚えている。綺麗ですね、と返して、本当に綺麗だなと改めて思った。たぶんそれがきっかけ。

 

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そのとき大きくて健康そうな苗がイングリッシュローズしかなかったので、ザポエッツワイフやらムンステッドウッドやらのラベルをたっぷり1時間は眺めて、この鮮やかなオレンジのレディエマハミルトンと、純白のデスデモーナに決めたのだった。

 

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終わりかけのエマ。このピンクが滲んでくるのが最高にきれい。

 

色鮮やかなこのイングリッシュローズは、ボーダーの中で、ひと際目を引きます。しっかりとつぼんだつぼみは、オレンジの混じる深みのある赤で、魅力的なダークの葉との間にコントラストが生まれます。花が完全に開くと、花びらの内側はタンジェリン(濃いオレンジ色)、外側はイエローオレンジが混ざり合った色合いの花になります。やや直立状に伸びますが中程度の育ち方でよく茂り、花は驚くほど次から次へと咲き続け、乾燥した地域で、よく育つ傾向があります。洋ナシ、グレープ、シトラスの調べのフルーツ系の濃厚かつさわやかな香りは、フランスのナンテスの香りのコンテストでトップ賞を受賞しました。 エマ・ハミルトンは、ネルソン提督の恋人の名前です。

(-デビッド・オースチン・ロージズ公式サイトより)

 

エマといえばコンパクトな樹形で銅葉が素晴らしく美しく、なによりそのシトラスと甘いフルーツの混ざった、夏に喉を潤すラムネのような香り(これは個人の感想)が名高いバラだ。花もちがちょっとよくないのがアレだけれども、もちろん、イングリッシュローズと桜には花もちを求めてはいけない。侘びも寂びもその内にあるのだから。

 

 

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剪定前のレディエマ。

半横張りで、おりこうに伸びる枝は切りやすい。

 

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剪定後。

もともとコンパクトだからあんまり切り詰めなくていいと本で読んだけれども、ここはベランダなので、ちょっとだけ遠慮してもらう。

 

耐病性は、ホームセンター育ちということで、少しだけうどんこ病が出たくらい。もともとうどん粉に侵されていた新苗オールドローズから移ってしまったやつで、デスデモーナとダフネの葉っぱがちょっとダメになったが、レディエマはちりちりとなるくらいだった。

ベーサルシュートの出やすい品種だと思う。総じて、育てやすいバラだろう。ファーストローズにはぴったりだった。おかげで、すっかりバラにめろめろになってしまった。

 

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今朝のベランダ。あのとき「ベランダで花でも育てたら?」と言ってくれた家人はまさかここまでとは思っていなかっただろう。でも、このステイホーム期間で、DIYの花台を作ってくれると約束してくれた。感謝。(あと3鉢くらい増やせる)

 

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嗚呼、紅茶と薔薇の日々。