泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

ベランダにだってアーチ(?)が欲しい、の話。

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それはまるで春の夢のような

 春のバラ園、満開を迎えた色とりどりのバラが何種類も絡んだアーチのトンネルをくぐる。風が吹くと、世界中のただ綺麗な色だけを集めた花びらが降ってくる。いばらの間から日差しが差し込み、花びらは身の回りを小さな嵐になって舞う。きっとその風はバラの香りに草の花木の花の香りがするのだ。

 

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この甘い色がとても好きなんです。砂糖で出来ているんですか?NO.


こんなにバラが好きなのに、バラ園に行ったことがないからこういう妄想ばかりしてしまうんだよね。夢でもいいから行ってみたくて、でも最近ほんとに悪夢ばっかり見るものだから、ソニアリキエルを物干し竿に引っかけてアーチもどきにしちゃったのだった。少しは感動を味わえるかと思って……。

しょせん物干し竿だけど………。

 

 

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 結果は、まあ、わりといい。とても良い。バラ大好き。

引っかけているだけなので、アーチというには程遠いけれど、降るように咲くバラを見上げるのがこれほどワクワクするものとは思わなかった。曲がる支柱や後ろのラティスを使ってワイヤーを通したり、冬場に色々やるつもりなので本当にアーチ(もどき)になるのは先のはなしではあるのだけど。

 

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 そもそもこのアーチもどきにするバラにはちょっとしたこだわりがあった。お庭で本物のアーチを建てておられる方には全く参考にならないが、「アーチに咲かせたいバラ」について私なりのこだわりを、私のためだけに記録しておこうと思う。

 

◆こだわりその1:頭上の圧迫感を少なくするために、淡い色のバラにすること(白〜淡桃、淡杏)

◆こだわりその2:四季咲きであること

◆こだわりその3:枝が普通よりもかなりしなやかなこと(可動域が広い)。

◆こだわりその4:生い茂ったときの光の透過を考えて、葉っぱはできるだけ小さく薄くマットなものであること

◆こだわりその5:個人的に譲れない、強香種であること

 

以上の5点。耐病性が高いに越したことはないし、トゲも少ないほうがいいし、花弁が多いバラのほうが好きだ。けれど、ここではあまり重要視しないことにした。

 

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空を背景に絵画のように咲くレディエマハミルトン。この景色をアーチ越しにも見てみたいのだ。

 

条件に合うバラを探す。1番に思いついたのは「オールドローズ」だった。しなやかで野趣の趣きふかく、素朴で華やかという属性を美しく共存させるバラたち。うちにオールドローズは一株もないから、せっかくだしこの機会に!

ちょうど手元にオールドローズの本があるので舐めるように読む。カップ咲きが可愛らしく、枝が素直なブルボン系の「マダムピエールオジェ、バラらしい芳醇な香りが魅力のダマスク系の「レダ、葉が幼いように小さくマットで、なによりしなだれるように咲く姿の愛らしいケンティフォリア系の「ジュノーの中で選ぼうかな、と思って、調べた。うん、ほとんどが一季咲きだね。

ここで当たり前のことを思い出した。オールドローズはもちろん、アーチにできるようなつるバラは基本的に一季咲き(または弱い返り咲き)である。

(ただ、あとで調べたところポートランド系のコンテドシャンポールなどはかなり理想に近いような気がした。伸びはばが気になるところではある)

 

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何度見ても愛らしい…そして美味しそう……

 世界一愛されているつるバラ、ピエールドゥロンサール。これも、株が育つまでは一季咲き〜弱い返り咲きだったはず。家人の同僚さんのお家のピエールさんがちょっとすごすぎるだけで。

 こちらです↓

rancraw.hatenablog.com

 

  ここでオールドローズの夢は潰えた。しかし天啓も下った。ガーデンローズ界では、1961年以来「オールドローズの花姿を持ち、かつ四季咲き性を兼ね備えた」バラが発表されている。故David・C・H・Austin氏、偉大なるイギリスの育種家が遺してくれた、類まれなバラたち。

まだ私にはイングリッシュローズがある。

 

というわけでイングリッシュローズに焦点を変えることにする。

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(ジュビリーセレブレーション。愛すべきかの国の女王のバラを作りだせたことを、オースチンは誇りであると述べていた)

 

 

とはいえとっても長くなってしまったので、続きものにすることにします。バラってとっても奥深いね!

 

 

 

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黄金の海と水平線、香りの女王の話。

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 3年と半前に越してきたこの地の、バスに乗って職場を行き帰りする道は好きな風景であふれている。春は目を皿のようにしてバラを探していたけれど(そして良いスポットをいくつか見つけたので毎日ガン見している)、今のトレンドといえば、そりゃもう田んぼです。

降りるところの3つほど手前の駅の周りは、見渡す限り田んぼが広がっていて、これがもう……もうね……胸が熱くなるんだ。

 

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(贅沢な景色、ずーっと感動しっぱなしなのだけど、家人はいつもの景色よ、という感じ。贅沢!)

 

田んぼ、それ自体はうちのベランダからも見えるし(最高にきれいなの!)、その駅の360℃パノラマ田んぼの何がそこまでいいのかって、水平線を臨めるのだ。

この土地は必要に迫られて高さ10m越え(くらいだったと思う)の、高い高い堤防が作られている。まだ足場を組んでいるような工事中から立派な堤防になるまで、ずっとその様子をベランダから眺めていたので、それに対してちょっとした思い入れはあるのだが、近くへ行っても海が見られないのは寂しかった。

 そういうわけで水平線というのは坂を登ったりしないと見えないのだけど、そこの駅はお山の上の方だから、まっすぐに見晴らすことができる。熱にうかされたように日に輝く水平線と、緑の海だ。

東北の今この季節、こうべを垂れる稲穂はほんのりと緑が抜けかかかっているところ。黄金の季節が待ち遠しい。それはそれは綺麗なんだ、本当に。

 

rancraw.hatenablog.com

 

 

今日は今春のアカデミアのお話をしたいと思っていたのに、バスからの風景ですっかり昂奮してしまったな。

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 赤とピンクが絶妙に混じりあって溶けあった、カーマインレッドというのが近いような色のバラは、私の愛すべき香りの女王、アカデミア。イタリアはトスカーナ州のバルニ社で作出され、2014年に日本で発表されたバラで、女性育種家の方の作出だそう(ベアトリーチェ・バルニというその女性は、イタリアの方らしくどの写真を見ても太陽みたいに明るい笑顔だった)。

 2枚目の写真は今日撮ったものだけれど、後ろの緑の海がいずれ黄金の稲穂になる田んぼです。ああ、アカデミアはもう背丈が1.8mになってしまった。樹高80cm〜1mって書いてあったんだけどな……?

 

 

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アンティークで洗練された雰囲気のバラ。
イタリア・ピエモンテ州のガーデンアカデミー
「Accademia Piemontese del Giardino」にちなんで命名
モンツァコンクールでは「最も香りの良いバラ」に選ばれた。
程よくまとまりのある樹形で、色々なシーンに合わせやすい

(-河本バラ園公式サイト商品説明より)

 

単花咲きにもなるけれど、2〜3輪の房咲きが多い。ベーサルシュートの発生が本当に良くて、去年も今年も3本ずつぐらい出た。枝は真っ直ぐ上に伸びて場所をとらない。濃緑の葉っぱはかすかに照り葉で、なにかの間違いのように伸びた細い枝の葉っぱには黒星が出るけれど、とにかく樹勢が強いので全く問題はないと思う。

育て始めてから悩んだのは樹高だけだ。なにしろ枝が太くて硬いのでせっかくのお花が見られないし、香りもかげないのだ。

 

 

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そう、香りである。アカデミアは、Twitterでも何度も言っているけれど、香りが、あまりにも、良い!!

南国のフルーツの香りがする。マンゴーやパパイヤやメロン、果汁の多くて色鮮やかな、湿度の高い国の活き活きとした商店で香るあの匂いがする。スコールがある国の、朗らかで力強い人々が暮らす国の、暑い夏に漂う、とろりとした甘い香り。あまりにも好きだ。もし万が一枯れてしまっても絶対に買い直すと思う。

 

香りのことはここにも書いていますね。なんというか、雰囲気でわかってもらえると嬉しい。

rancraw.hatenablog.com

 

 

 

 

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美しく香りよく、稲穂の海をバックにすっと背筋の伸びた、明るく凛々しいイタリア女性みたいなバラ。秋の深い花色と濃厚な香りが今から楽しみで仕方がない。

 

明日は35℃/23℃だという。ここは東北なのに???と思うけど、アカデミアが咲いてくれたらきっとその暑さも似合いのものになるのにな。つぼみはあるのでとりあえず写真で我慢して、涼しい場所にいましょうね。

 

 

 

 

 

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オレンジとイエロー、スカイブルーにペーパームーン

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 用事があって午後にお休みをもらった。バス停に着くまでの道のり、眩しさをこらえて視線を上げると、あまりにも空が青くて驚いてしまう。

夏はこんなにも暑くてしんどい、と思うのに、空も海もそのあいだを吹き抜ける風が肌に涼しいのも、日に灼ける街も笑う人も本当に美しい。遠いところにいる親友や、大事な兄や姪を思い出す。どこまでもつながっている青。高く響く汽笛と、線路を踏む重い音。

写真は8月21日のレディエマハミルトン。まだ2番花のつぼみがある、その安定ぶりで私に安心をくれるバラ。

 

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 家は海の近くの高台にあるので、ベランダのバラたちは毎朝涼やかな海風と昇ったばかりの日の光を一身に浴びている。黒星やうどん粉にかかっても、そこまでひどくならないのはその環境のせいかもしれない。

甘く煮詰めた花豆色の葉を持つヴィウーローズは、網戸近くの目の届きやすい位置よりも奥の棚の上に置いたほうがずっと調子が良くなった。2019年、デルバールが発表して一目惚れしてしまったバラだ。リンゴの香りがすると聞いたけども、今のところ軽く薬局の匂いがしている。薬局……。

 

 

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 デルバールで、夏!なら、それはもうラパリジェンヌの出番である。2009年発表のパリっ娘Roséは、去年の夏の終わりにベト病に罹患してからずっと不調だったけれど、この春の終わりには元気そうなサイドシュートが伸びてきて、あっという間に1.2mぐらいまで育ってしまった。そのほかの枝にもつぼみがついて、写真はその子たち。

プロムのドレスみたいな可愛らしくはじけるピンク、日差しを受けて熟れたタンジェリンオレンジ、気まぐれにグレープフルーツイエローの絞り。暑い夏を楽しむための彩りがぜんぶ入っている。大好きなバラなので、このまま復活してほしいな(*´◡`*)

 

 

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最後に、最近咲いてくれたバラを。

いつでも完璧に美しい、私の女王さま。ジュビリーセレブレーション。

 

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とろけるカスタード、あるいはレモンカードとチェリーソースのフリュイ。

 

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あばれんぼうプリンセスのダフネ。

どんなに落ち込んだ日だって、こんなにきれいに咲いてくれたバラを見れば元気になるよ。ありがとうね。

 

 

いつの間にか滑るように雲が海を渡って来ていた。街のぐるりの山々のてっぺんはもう黒々としていて見ることができないけれど、真ん中の空は嘘みたいに青く、白々と薄っぺらい月が飾りのように浮かんでいた。

 

 

 

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生ぬるい風、雨の気配、遥か夏の夕暮れ。

 

 

 

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夏の朝に咲く

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 最近、暑さに参ってしまったので朝の水やりを1時間早めて、6時前にするようになった。昼間はのぼせるくらいの空気もすっきりとしていて、どこかのお堂で鐘を撞いているのが聞こえる。しばらく聞き入ってしまうくらいに何やら風情があって、良い。

ベランダの網戸を開けると涼しいくらいの風は、水やりを終えるころにはぼんやりと生温くなる。夏の朝。

 

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写真は去年訳ありアウトレットで購入したブルーパフューム。作出はタンタウ、1977年のバラ。私が所有している中で最も古いバラで、しかもアウトレット品と来ればこれはきっと繊細だぞ、と恐々としていたのだけど、今のところ順調な生育で嬉しい。

 

 

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もう3巡目になる今朝のブルーパフューム。6月の1番花はそれはもううっとりするバラの香りがしていたから、部屋の中で香りを楽しみながらくるくるともてあそんでいた。さすがに30℃を超えると香りもすぐ飛んでしまうので、今はその鮮やかな紫の花色と、ふくよかな花姿を楽しんでいる。

 

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外側の花弁はつぼみのときから白くすじが入る。それは少し傷痕のように見える。最初は生育不良を疑ったのだが、元気そうなのでこれは個性なんだと思った。私はこれが何故かとても好きだ。不完全なような、そっと隠すような、それとも主張するような、傷痕。

 

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冬の剪定後、芽吹き始めた株姿。細くてちょっと不安になるけど、ちゃんとベーサルシュートもでできてくれたので大丈夫です🌹

注目したいのはトゲの少なさ。もちろんあるにはあるけど全然気にならない。私はそこまでトゲは気にならないタイプなのだが、これが決め手の方もいるだろうなあと思う。

 

 

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今は1m位に伸びて、元気につぼみをつけてくれている。房咲きで花が大きくなりすぎないのが良い(春の一番最初はすごく大きかったけど)。

 

ちょっと引いて全景を撮りたい、でももうどのバラもちょっとも引けないような位置で咲いているから、本当にどうにか場所を作ることを考えないとなあ……という、夏のベランダのお話でした。

 

 

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31℃/21℃ 快晴、風がなく朝から暑い日。

体調を崩さないようにしないとね。バラのためにも🌹

 

 

 

 

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世界でいちばんお姫さま、のバラ

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 お世話になっている、家人の同僚さんのおうちのピエールドゥロンサール。お手伝いをしたらお礼にと頂いてしまった💕💕

真夏のこの暑い中でもたくさん咲いていました(びっくり)!花弁の焼けたのもなく、花びらが少ないわけでもなく、相変わらずお姫さまのバラちゃん🌹さっそくリビングに飾ってうっとりしています。

 葉っぱはつやつやのふさふさ……ものすごくふさふさ!で、細い枝に多少黄色い葉があるにはあったけれど、あの梅雨の長雨を考えると嘘みたいな少なさだった。聞けばアブラムシ用の株元に撒くタイプの薬以外は使っていないとのこと。すぐそばで家庭菜園をやっておられるので、それはそうだろうと思う。

とすると、ピエールさん、耐病性はそんなに高くないと思っていたけど、そんなことないやんね。めちゃ強くて元気なつるバラやんね。

 

rancraw.hatenablog.com

 

この記事が3月。誘引のお手伝いに行ったときはまさかこんなに勢いよく元気になるとは思っていなかった。冬の誘引は横に曲げるだけの簡単なものだったのだけど、そこからびゅんびゅんとサイドシュートが出て通行の妨げになっていたので、さらに支柱を立てて麻紐でくくったりした。

赤い柔らかそうな新芽がたくさんで、ああ、秋にもけっこう咲くのじゃないかなあ、と思ったり。

 

 

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(ピエールさんの全景のお写真を撮り忘れたのでうちのコルデスの姫、クリスティアーナ。病気に強くて、可憐なバラ)

 

 あとは、おすすめした2本の強香バラの鉢増し(6号角鉢→9号角鉢へ)をお手伝いさせてもらったり。コルデスの新品種の根張りがとてもよくて、9号鉢でもすごく伸びそうだ。春は花数が少ないようだったから、秋にはたくさん咲いてくれるといいなと思う。

同僚さんが喜んで下さったのがいちばん嬉しい。バラの手入れをするのはもう私の最高の趣味になってしまったので、どんどんお手伝いしたい。楽しかったなあ。

 

 

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 34℃近くのところで2時間ちょっと作業をして、帰ってから久々にゲームをしたら、色々やりすぎたのか、とんでもなく偏頭痛で死にそうになってしまった。ゆっくりしましょうね……。東北でもすごい暑さです。どうかこれ以上、気象災害で悲しいことがおきませんように。

 

 

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空想のグラスから香る・しっとりとみずの匂い

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 肌にぴったりと暑い空気が、ゼリーみたいな被膜になって張りついている。湯気のような淡い霞に覆われた山の稜線も、三日月に湾を囲む港の向こう、見えるはずの水平線の在りかもゆらゆらと曖昧だ。普段から着物を着ている洒落たお客さまの水色の帯が唯一、涼やかで優しかった。白地に赤の矢鱈縞が入った日傘を持っておられた。帰り際に香るかすかな雨の匂い。

 

 

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意訳すると「もう暑くてやんなっちゃう」!です。気まぐれに雨が降って風が吹いて、瞬間的にわあっと涼しくなるんだけど、そのあとは蒸してもっと暑い。首すじに張りつく髪をくくって、朝から真っ赤な顔をして会社に行く。それでも、私は夏が好きです。

しかしあのお客さまはおしゃれで可愛らしかったな。すてきな夏の装いだった。

 

 

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バラもこんなに暑いのが続くとすぐ開いてしまって、もともと散りやすいジュードジオブスキュアなんて2日も保たなくなってしまう。でも朝の6時頃、本格的に暑くなる前のジュードさんはすごい。とても濃厚かつ爽やかな、柑橘や南国の赤くて甘酸っぱいフルーツの香りがする。あと、それに加えてくらくらするみたいな甘い白ワインの匂い。細身のフルートグラスから香るのが一番さまになる香りだと思う。

 

 

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蕊を大切に隠すジュードさん。

 帰宅して、ベランダで作業をしていると(小さい熊手を買ったので中耕をしていた)、おとなりから何やらぱちぱちと音がして、どうやら迎え火を焚いておられるようだった。そうか、今日は8月の13日だ。盆の入り。

精霊馬もおがらもないからどうかなと思うが、家人のお母さまと私の母が好きだった花を飾って、父と行った伊勢のお線香(五十鈴川のみず)を焚いた。あと、父母の好きだった歌を歌った。まだたぶん、あまりこういうことに気を張らないほうがいいから、これくらいにしておく。

 

 

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 盛りのころのジュードは明るい日の光の色をしている。夏の似合うバラだと思う。でも、褪色してアイボリーのような曖昧な色味になるとき、どの花より早く散る、そのしっとりと冷たい花びらを集めて手のひらに乗せるとき、私は「ジュードジオブスキュア」のその名前の由来を想う。フルートグラスの似合う素敵な香りに、夏の似合う花色をしたこのバラが、「日陰者ジュード」と名付けられた意味を想う。そこに少しの救いがあることを願いながら。

 

明日は晴れのち雨。少しは涼しくなるといいなあ。

 

 

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暑い暑い暑い・しっとりと砂糖菓子の香り

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 暑い!!!

お盆寸前でようやっと本格的な夏の暑さになってきた。34℃/24℃。おととし?なんかは梅雨明け宣言も出ずに寒いまま秋に突入していたことを考えると、まあまあふつうなのかな…と思うのだが、各地は異常な暑さだ。本当に、何事もなくと祈るばかり……。

 

 

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 我が家のバラはこの間までは涼しい日もあったおかげか、まだ夏の顔になっていない。写真はギヨーのソニアリキエル。砂糖菓子みたいに甘くしっとりしたバラ。

昨日は汗みずくになりながら、ソニアとジュビリーセレブレーションの場所を交代した。本当はあまり環境を変えないほうがいいらしいのだけど、ソニアが伸びて伸びてラティスに誘引しないとどうしようもなくて、でもラティスは今キルケとラパリジェンヌとダフネでほとんど占有されている。苦し紛れに物干し竿に麻紐を通して、手前に伸ばしてみた。どうだろうな…高い位置だからもしかしたら日がうまく当たらないかもしれない。難しいなあ。

 

 

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うーむと考えていてもしょうがないので、今月のCasa BRUTUS「絵本特集」を読む。表紙がエルマーの冒険だったので思わず手に取ってしまったのだ。うふふ、持ってた持ってた!児童文学はいいよね。大人になってから読むと、いっそう深みをもって感じられる。「モモ」と「ピーナッツ」の特集が良くて、お風呂の中で繰り返し読んでいた(食べ物の特集じゃないよ)。

そういえば昔、世界名作ファンタジーの白鳥のみずうみが大好きだったのだけど、表紙のオデット姫のピンク色のドレスに何より惹かれたのを覚えている。

 

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ちょうどこんな色のドレス。誕生日に買ってもらったジェニーちゃんに着せていたっけ。

私はソニアの幾重にも折り重なった天鵞絨みたいな花容に、砂糖菓子のような甘い香り、しなやかな枝と若草色の葉っぱの、その女性らしさを何より愛している。持っているバラの図鑑には「枝がだらしなく伸びる」なんて書いてあるけれど、そんなところもあら可愛い、と思ってしまう。

 

 

 

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ちょうど水面に小さな粒が落ちたときのように、中心から広がる波紋のような花びら。

 

 

 

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ゆっくり開いていく。

 

 

 

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ふわふわ。

 

 

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ジュードジオブスキュアと並んで。この色の組み合わせはわりと好きだ。

 

 

 

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枝もステムも花びらも、触れたら壊れてしまいそうに柔らかい。日に向かって咲いているのは珍しく、大抵はしっとりとうなだれている。

 

 

 

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たぶん、雨か曇りの日に撮ったこの写真のソニアの色合いがとてもとても好きだ。甘くて柔らかく、しとやかで優しい。酸味の少ない、ただただ甘いフルーツの香りがする。

2番花も順調に咲いているけれど、黒星にもうどん粉にも少しかかりやすい(まだ株が若いから?)気はする。でも、それを鑑みてもおすすめしたいバラです。

 

 

 

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 明日も今日と同じくらい暑いと聞いて、慌ててベランダの鉢たちにアルミシートを巻いたりしたら、すっかりふらふらになってしまったので、今日は早めに寝ようと思う。でも、お盆の間は家人がお休みなので、職場まで送り迎えをしてくれるのだ。ありがたいことこの上ない💕

ふふふふふ、1時間以上も長く寝てやるぞ!!!

 

 

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