泥濘と薔薇

北東北、海辺のベランダで育つバラの記録です。

エヴリンと香りの話。

(エヴリン。桃と花とハチミツの贅沢な香り) 桃の香りを感じた時に思い出すのは、小さい頃の夏休み、毎年1ヶ月弱滞在していた祖父母の家のこと。お盆になるとまんまさん(仏様)にお供えする果物の盛り合わせがあって、一度上げたあとの桃は双子の従兄弟たちと…

開いていくバラの美しさと(ホラー)映画の話

霧の深い朝のバス停から職場の最寄りにつくまで爆睡して、起きてバスを降りたらめちゃくちゃに晴れていた。一瞬、本当に夢かクレヨン王国に行ってしまったんだと思った。 もちろんそんなことはなく、晴れたり曇ったりで気圧がゆらゆらするので職場でくたばっ…

バラの姫

一雨ごとに緑が深まり、背丈の高い野草に花が咲く。夏風に吹かれて散りいそぐ残花が、水たまりに浮島のように群れていた。今日はまだ雨が降っていない。これから2週間は日照不足の日々だそう。 ふと思い立って、萼がおりたばかりのシャリファアスマをカット…

ベランダの景観を考える・孤高のヴィウーローズ

2番花のデスデモーナはなぜか花びらに細かく刻みが入って、別のバラのようだ。 デルバールのソフィーロシャスとかかの有名なイブピアジェとか、あと河本さんのバラのいくつかを思い出す。いいなあ、こういうのも好きです。はつねが欲しかったんよね……。 そし…

ベーサルシュートは嬉しいものです。

多少雲は多いけれども、太陽の位置の分かる朝だった。霧が光を散乱させていて、散らばった山吹色の光が、あたりをぼうっと浮かび上がらせる。夢見心地。 夢見心地といえば、最近咲いてくれているシャリファアスマ!ずーっと憧れだったイングリッシュローズが…

キッチンの海・光のようなシャトードゥシュベルニー

当地は連日霧に沈んでいる。 今日は28℃まで上がったけれど、ここ数日は最高気温も20℃前後をうろうろしていた。夜、窓を開けたまま寝て、猫に起こされた真夜中、部屋中に潮の香りが漂っていた。肌寒くて寝起きの身体がうまく動かなくて、まるで海の中だ。時間…

亡き母のためのクリスティアーナ

昨日は母の命日であった。故郷の蒸し暑い梅雨の終わりがみえる頃、今よりずっと痩せていた私が、襟元に白い花の刺繍の入った紺青のワンピースを着ていたあの日から、もう4年になる。 花の好きだった母が今の我が家のベランダを見たら喜ぶだろうか、と考えた…

深い霧の中で

今朝の房咲きレディエマハミルトン。 去年はよくて3輪程度だったのが、やっぱり今年は花つきがよくなっている。房咲きねえ、好きだねえ。やっぱりヴィウーローズよりあおいなのかなあ(独り言)。 こちらは出先を昼休みに散歩している途中で見かけたアスチルベ…

バラの香りのはなし。その3

飽きないうちにやっちまいましょう、その3。 6/19金曜日、23℃/17℃。朝は曇っていて、今にも降り出しそう、と思っていたらバケツをひっくり返したみたいなのが降ってきた。 ばらちゃん軒下に入れてない……大丈夫かな…… 前回、前々回のつづきです。 rancraw.hat…

バラの香りのはなし。その2

飽きないうちにやりましょう。 25℃/13℃の快晴(梅雨なのに……)、今日も前回の続きで香りの話です。 rancraw.hatenablog.com ⑥キルケ(ロサオリエンティス・8号鉢2年目) *香質:ダマスクにティーとフルーツ(公式より) *強さ:★☆☆☆☆ *安定性:★☆☆☆☆ ロサオリエン…

バラの香りのはなし。その1

我が家の開花、トリを飾るバラであるデルバール・フラゴナールが6/15に咲き出して、パーフェクトに美しい姿を見せてくれている。葉っぱの若草色にこの濃いピンクはとてもよく映えると思いませんか?私は大好きです!! さて、今日はバラの香りについて書こう…

散る花びらの行く末を思う

夕方あたりから霧が海を渡ってきて、高い高い堤防をぬめぬめと超え、みるみるうちに街を覆ってしまった。朝にはつぼみだったレディエマが1輪、呼ばれるように咲き出している。甘い柑橘のいい匂い。 オステオスペルマムはこの寄せ植えの紫の花。次々に咲き夏…

慈しむべきは座らせる者

大好きな映画に、北欧はスウェーデンのロイ・アンダーソン監督「散歩する惑星」がある。これは日本語タイトルで、原題を邦訳すると「二階から聞こえる歌」となる。なんとなくシュールで意味がわからないでしょう。うふふ、内容もそんな感じです。 この映画は…

はじめは白、しだいに赤と杏、やがて光のような色

はじめに咲き出したのは白に淡くピンクやゴールドが載る、デスデモーナやクリスティアーナ。 しだいに真紅のオデュッセイア、柔らかなアプリコットのエヴリンやプシュケ、ピンクのソニアリキエル。 そして今、シャトードゥシュベルニーやジュードジオブスキ…

6月6日 宴の始まり

今朝のデスデモーナとオデュッセイア。朝はよく晴れて、差し込む日差しに照らされて天国みたいに綺麗だった。 24℃/14℃と、昨日より3℃ほど低い気温の予報の今日、ベランダの向かって左側のバラはほとんど咲いてくれました。 デスデモーナ オデュッセイア プシ…

祭りの前夜

すっかりすなおに開くようになったクリスティアーナ。純白の中にひっそりと薄紅をかくしているのがかわいらしい。 つるバラだけれど、ドイツではあまり伸びないブッシュだそうで、ここ東北だと背丈はHTのブルーパフュームと同じくらい、1番長い枝でも今のと…

金の滴降る降るまわりに 5/26〜6/2のデスデモーナ

朝陽に照らされるデスデモーナ。 こんなふうに陽の照る中で降るように、木陰から光の差すように、あるいは仔猫の喉を鳴らすように、春のバラが柔らかく美しくいとおしいとはまるで知らなかった。人生を損した気分だ。 たくさん撮ったから、今日はただデスデ…

開花、虹色、ペリエの匂い

我が家で冬を越したバラの開花第1号は、イングリッシュローズのデスデモーナでした。 春の勢いだと、同じイングリッシュローズのエヴリンかジュビリーセレブレーションが先かな、と思っていたので、嬉しい誤算。 この写真が5/26のもの。 一晩まえの5/25、18…

5月下旬、長雨、霧と晴れ間と。

朝方に驟雨を走らせた雨雲が、家を出る頃には灰色の霧になって、広く見渡せる市街地の向こうの山に細いけむりのようにわだかまっていた。いくつも立ちのぼるそれがまるで湯気みたいに見えて、なんとなく草津の湯畑を思わせる。駅の向こうは雨模様だ。振り返…

May storm

11℃の昨日、13℃の今日。バラは休眠しちゃってるのでは?? この間の記事に載せたばかりのヴィウーローズ、1番伸びていた枝が付け根からぽっきりいってしまって心も雨模様になってしまった。風が強いの、ここだけの話、本当は大好きなんだけれど、バラを育て…

バラの記録と仕立て方を考えたい。

今朝からとても冷えこんで、明日は11℃くらいになるそう。3月上旬ほどの気温だといつも見ているニュースの天気予報士さんが繰り返し述べていた。信じられない。嘘だと言ってほしい。 外の匂いが気になる猫にせがまれて開けた窓から冷えた風が吹き込んできて、…

バラのことばかり考える、まだ朝の来ないベランダ

この美しい色を持つバラの名前はジュビリーセレブレーション。寿ぎのバラだと言われればまさしくその通りだ。5月にしては気温の低かった、薄く霧のかかった朝の日差しは細く確かに黄金で、この花びらが持つ豊かな彩りの中にある色だった。内側から輝くように…

薔薇未だ覚めず・また赤紫の話

バラが咲くのは今週末くらいかな?と、ワクワクしながらずーっとバラのことを考えている。 この萼が下がってからもまた長いんだよねえ。この焦らし上手♡ 少し前の記事に「赤紫」という色が好き、と書いた。 これはカリブラコア・ティフォシーエレガンスNo.2…

5月初旬のバラの様子〜北東北の場合

GWだぜ!朝から晩までベランダで過ごしてやる!!と私が浮かれている間に、街の田んぼに水が引かれた。GW中はずっと晴れて暖かく夏のようだったので、青空と山の緑と、重たそうな白い雲が田んぼに映って、それはそれは綺麗だった。 ベランダにいればバラも海…

紅茶とバラの日々

を、今読んでいる。もう読み返すのは何度目だろう?昔の女流随筆家が大好きで、幸田文と森茉莉のエッセイは宝物のように大事にしている。 でも今日は、私のファーストローズ、レディエマハミルトンの話。きらめくオレンジがダージリンの水色みたいに鮮やかな…

柘榴がなるような

色合いで咲くのはオデュッセイア。 4月の27日につぼみを見つけて、ぐんぐん数を増やしている。まだまだ小さい。 今日は28℃/14℃。昨日は予報が25℃だったのに、どんどん上がって28℃以上になったみたい。え?てなるけど、海風の入る部屋はとても涼しくて、夏で…

あなたに会えて良かった。

これはクリスティアーナのつぼみ。中心の1番大きなものはなにかに引っかかって少し傾いでいる。でも大丈夫だよ、と言うようにわきからもつぼみが上がって一安心。クリスティアーナは4/5につぼみを発見して、もう20日以上になる。 15℃/1℃。まだ風の冷たい春。…

愛すべき・ひとり遊び

引きこもってひとり遊びをするのが昔から得意である。 (ネモフィラ、レースラベンダー、ペチュニア和染十二単京紫、勿忘草のハンギングバスケット。人生初!) シルバニアファミリーやジェニーちゃんの人形、世界の綺麗な景色の写真集、あるいはカラーの百科…

薔薇二曲

朝から持病が悪化し、仕事を休んだ罪悪感で心を腐らせながらベランダで過ごしていたら、高い高い堤防の向こうの海の上が急に曇って烟り、さあああ、と雨の音が聞こえてきた。私は新芽の瑞々しいバラと一緒に、陽の光を浴びながらそれを見ていた。ふいに涙が…

今日はクレマチスと妄想のお話。

ひそやかで幽玄な佇まいの、クレマチス・ウェッセルトン。雑誌の表紙ととあるブロガーさんの写真に一目惚れして購入した。 首すじというか、伸びたつるが蕾に向かってすうっと曲がるのが好き。光の粒子みたいな和毛がつるや花びらを覆っているのが好き。誘引…